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訪問歯科診療とは?これから始めたいと考えている歯科クリニック様へ

訪問歯科診療とは?これから始めたいと考えている歯科クリニック様へ



今回は訪問診療と往診の違いや、訪問歯科診療で伺える場所や範囲、交通費について
紹介していきたいと思います。

これから訪問診療を始めようと考えているクリニック様は是非参考にしてみて頂ければと思います。


日本の人口動向推移と要介護者の口腔状態、治療の必要性

日本の総人口は、2004年をピークに減少すると推定されています。
総人口は減少しますが、65歳以上の人数は、2040年くらいまで増え続けると予測されています。

そんな中、要介護者を対象とした調査では、対象者の64.3%が、何らかの治療を必要としており、そのうち、実際に治療を受けた方は2.4%にとどまっているとのデータがあります。

訪問歯科診療の対象となる方



保険診療で行う訪問歯科診療の対象となる方は、原則として一人で通院ができない方となります。

例えば
①高齢や病気などで体が不自由な方
②心身障害があり歯科医院への通院が難しい方
③寝たきりで歯科医院への通院が出来ない方
など

※一人で容易に通院が出来る方は対象になりません。また要介護区分に基づいて形式的に判断されるものではなく、歯科医師が個々の症例ごとに適切に判断します。

訪問診療と往診の違いとは?


「訪問診療」「往診」を同じものと思われることがありますが、明確な違いがあります。
共に患者様の求めに応じて行います。

訪問診療・・・定期的、計画的
 
継続的・定期的に訪問して、患者さんの生活の質を低下させず、
 健康的な生活を維持することを目的に診察・処置・療養指導を行います。

往診・・・突発的・応急的
  患者さんから必要に応じて都度連絡を受けて治療に伺います。

訪問歯科診療で伺える場所とは?



訪問歯科診療で伺える場所

往診が認められている場所一覧

施設(社会福祉施設等) 居宅
・介護老人福祉施設【特養】(特別養護老人ホーム) ・患者居住の戸建住宅
・介護老人保健施設【老健】 ・患者居住の集合住宅
・介護療養型医療施設 ・養護老人ホーム
・介護医療院 ・軽費老人ホーム
・歯科のない医療機関(病院・診療所) ・有料老人ホーム
・障害者支援施設(入所) ・小規模多機能型居宅介護(*宿泊サービス利用者のみ)
・福祉型障害児入所施設 ・グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
・医療型障害児入所施設 ・サービス付き高齢者向け住宅
・短期入所生活介護(ショートステイ)

介護施設や居宅など、患者様が寝泊まりしている場所には往診を行うことが認められています。

訪問歯科診療で伺えない場所

デイサービス、デイケア、障害者通所施設、歯科口腔外科のある病院は、基本的には往診が認められていません。

訪問歯科診療で伺える範囲とは?


クリニックを中心に半径16キロ圏内が保険診療で訪問可能なエリアになります。

伺える範囲が決まっている理由とは


「往診」や「訪問診療」は診療点数が外来より高く設定されているため、医療上の必要性に関わらず安易に実施されることのないよう、一定の要件が定められています。

保険医療機関の所在地と患家との距離が16キロメートルを超える往診・訪問診療については、当該保険医療機関からの往診等を必要とする「絶対的な理由」「特殊な事情」がなく、特に患家の希望によって行われる場合認められないものとされています。
16キロを超えて診療を行った場合は自費診療の扱いとなります。

16キロを超えて保険診療の算定が可能な「絶対的な理由」「特殊な事情」とは

  • 絶対的な理由とは
    ・患家の所在地から半径16キロメートル以内に、患家の求める診療に専門的に対応できる医療機関が存在しない等



    特殊な事情とは
    ・冬期積雪の期間通常の車両の運行が不能の為、往診に相当長時間を要する事情にあること、又は道路事情が極めて悪く、相当の路程を徒歩によらなければならないため、往診に相当長時間を要する事情にあること
     
     ※厚生労働大臣が定めるところによって保険診療になることもあります。

  

訪問診療にかかる交通費は?


訪問診療にかかった交通費は、実費を患者さんへ請求できますが、請求するかしないかはクリニックの運営方針に依存します。下記に令和4年診療報酬点数表に記載されている交通費に係わる文書を抜粋しましたので、ご参照ください。

令和4年診療報酬点数表(医科)より交通費に係わる文書を抜粋


C000往診料 注5  往診に要した交通費は、患家の負担とする。

  • (16)「注5」に規定する交通費は実費とする。
  • (17) 交通費には自家用車による費用を含む。
  • (18) 自転車、スクーター等の費用は往診料に含まれているので前項は適用されず、
  •     したがって「注5」に規定する患家の負担となる交通費には該当しない。
  • (19) 往診を求められて患家へ赴いたが、既に他医に受診していたため、
  •     診療を行わないで帰った場合の往診量は、療養の給付の対象としない扱いとする。
  •     したがって患者負担とする。
  • (20) 特定の被保険者の求めに応ずるのではなく、保険診療を行う目的をもって
  •     定期又は不定期に事業所へ赴き、被保険者(患者)を診療する場合は、
  •     往診料として取り扱うことは認められない。
  • (21)複数事業所の衛生管理医をしている保険医が、
  •    衛生管理医として毎日又は定期的に事業所に赴いた(巡回)際、
  •    当該事業所において常態として診療を行う場合は、(20)と同様である。
  • (22)同一保険医が2か所の保険医療機関を開設している場合の往診料は、
  •    往診の依頼を受けた医療機関を起点とするのではなく、
  •    当該保険医が患家に赴くために出発した保険医療機関から患家までの距離により算定する。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は、訪問診療と往診の違いや、訪問歯科診療で伺える場所や範囲、交通費について紹介しました。

次回は具体的に訪問歯科診療を始めるにあたって必要な手続きや書類、器材、算定方法などについて紹介したいと思います。

実際訪問歯科を始めたいけど、少し不安があるという歯科クリニック様におきましては、お気軽に下記フォームよりお問い合わせください。

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