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訪問歯科診療の実施方法|必要な手続き、機材、書類などについて

訪問歯科診療の実施方法|必要な手続き、機材、書類などについて

手続き・届出

保険診療を行っている歯科医院では、訪問診療を行うための特別な届け出は必要ありません。

しかし、訪問診療料診療報酬に関連する加算を算定するための届出があるため、現在の届出状況の確認が必要です。

例えば
・歯科訪問診療料の注13に係る届出
・在宅療養支援歯科診療所の施設基準に係る届出
・在宅歯科医療推進加算の施設基準に係る届出
など

他にも、生活保護を受給されている方へ訪問する場合、申請が必要です。

必要な機材・道具

・移動のための車両

・ポータブルユニット

・携帯用エンジン

・携帯用レントゲン

・基本的な診察用機材
 照明器具(ペンライト・ヘッドライトなど)
 基本セット
 口腔清掃用器具(歯ブラシ・義歯ブラシなど)
 衛生用消耗品(滅菌ガーゼ・アルコールワッテ・ゴミ袋など)
 バイタルサインチェック用機器(聴診器・血圧計・パルスオキシメーターなど)

・治療用の機材(目的ごとに分類したセットを準備)
 CR充填用セット
 印象用セット
 根管治療用セットなど

訪問歯科診療の診療報酬

訪問診療だけで算定する主な項目です。

歯科訪問診療料1~3
・診療時間加算
・歯科診療特別対応加算
・初診時歯科診療導入加算
・緊急歯科訪問診療加算
・地域医療連携体制加算
・歯科訪問診療補助加算
・在宅歯科医療推進加算
・歯科訪問診療移行加算

歯科疾患在宅療養管理料(歯在管)
・文書提供加算
・在宅総合医療管理加算
・栄養サポートチーム等連携加算

訪問歯科衛生指導料(訪衛指)

在宅患者歯科治療時医療管理料(在歯管)

在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料(訪問口腔リハ)
・かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所加算
・在宅療養支援歯科診療所加算
・栄養サポートチーム等連携加算

小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料(小訪問口腔リハ)
・かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所加算
・在宅療養支援歯科診療所加算

在宅等療養患者専門的口腔衛生処置

介護保険による居宅療養管理指導費

要介護認定の確認

要介護認定を受けている患者様に、訪問診療で管理料を算定する場合、訪問先(施設又は居宅等)によって介護保険から負担金が発生します。
そのため、患者様の要介護認定の有無を確認する必要があります。

居宅療養管理指導を始めるための準備

指導・管理料を介護保険の居宅療養管理指導で算定するための準備を確認します。

届出

保険医療機関として指定を受けている歯科診療所であれば、介護保険法による医療系サービスの事業所として「みなし指定」を受けているため、指定申請の必要はありません。
※ただし、「みなし指定」を自体知る申出をしている場合は、再申請の手続きが必要となります。
歯科が実施可能なサービスは、居宅療養管理指導又は、介護予防居宅療養管理指導のみとなります。

居宅療養管理指導運営規程

事業の運営規程を定めた文書を院内掲示する義務があります。

居宅療養管理指導重要事項説明書

利用者及びご家族などへの文書を交付したうえで説明する義務があります。

居宅療養管理指導契約書

居宅療養管理指導の提供開始についての同意は、書面をもって確認することが望ましいとされています。

個人情報の取扱いに関する文書

個人情報の取扱いについて、利用者及びご家族に説明と同意を得る必要があります。

訪問歯科診療で必要な文書類

訪問診療で指導・管理料を算定するには、いくつかの必要な文書があります。

指導・管理料を医療保険で算定する場合

算定項目 算定頻度 必要文書 算定要件 作成時期
歯科疾患在宅療養管理料 月1回 管理計画書 ①作成
②要点をカルテ記載又は写しを添付

①管理を始める時
②管理の内容が変更になった時
(変更がない場合は作成不要)

文書提供加算 患者又はご家族へ管理計画書を文書提供
訪問歯科衛生指導料 月4回 訪問歯科衛生
指導内容説明書
①患者又はご家族へ文書提供
②写しをカルテに添付
算定毎


      

指導・管理料を介護保険で算定する場合

算定項目 算定頻度 必要文書 算定要件 作成時期
歯科医師
居宅療養
管理指導費
月2回 管理指導計画書 ①作成、カルテ保管
②文書提供は努力義務
①管理を始める時
②管理計画を見直した時
居宅療養管理指導
情報提供書

サービス担当者会議が開催されている場合
①サービス担当者会議への参加

②要点のカルテ記載

算定毎
サービス担当者会議が開催されていない又は参加が困難な場合
①ケアマネージャーへの文書提供(電子メール・FAX可)
②写しをカルテに添付
本人または家族へ文書提供に努める
①口頭で行った場合→要点のカルテ記載
②文書提供した場合→写しをカルテに添付
歯科衛生士
居宅療養
管理指導費
月4回

口腔機能スクリーニング・アセスメント評価表

作成、カルテ保管

①管理を始める時
②3か月毎
③必要に応じて見直した時

居宅療養管理指導
管理指導計画書

①利用者又はご家族へ説明・文書提供
②同意を得る
③写しをカルテに添付

実地記録簿

カルテ保管

算定毎

歯科衛生士の行う居宅療養管理指導のプロセス

歯科医師の指示 要点をカルテ記載(歯科医師)
 
口腔機能スクリーニング リスクの把握
 
口腔機能アセスメント スクリーニングをふまえて、解決すべき課題の把握
      
口腔機能モニタリング
①歯科医師と共同で管理指導計画の作成・交付→利用者の同意
②写しをカルテに添付
    
実地指導 管理指導計画に基づき、1対1で20分以上→実地記録簿に記載
※管理指導計画に実施上の問題があれば直ちに計画を修正する
    
担当歯科医師へ報告 毎回、実施した指導の要点をカルテ記載(歯科医師)


3か月、又は必要に応じて、再評価→管理計画の見直し(上記2~4)を行う

まとめ

訪問歯科診療の実施にあたっては、機材や文書の準備が必要になります。
コンビニより多いとされる歯科医院において、外来診療は飽和状態のため、これから訪問歯科診療を始めようとお考えのクリニック様も増えてきています。
始めるにあたって不安を感じるクリニック様は、ぜひ一度お気軽にお問合せください。

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